2014年12月22日

「そういう競馬もあるんだね」。

朝日杯前日、買い目を決めるべくスポーツ紙を力強くめくっていると、悪友M夫人から電話が来て「明日の競馬はおもしろいの?」

こういう浮世離れした物言いが、私の笑いのツボをぶち壊す。どう答えていいのかいつもさっぱりわからないのに、しっかりと噴きださせてくれるこのセンス。おもしろいかどうかをひとにきいて、おもしろくなかったらこのひとはそれで納得できるのだろうか。

聞けば、Mのご主人は忘年会で帰りが遅いらしく、自分だけの夕食を作る気にもなれないというので、近所の居酒屋に召集をかけた。

酒を飲みながらの酔いどれ馬券検討会によい思い出はないけれど、Mが競馬に興味を持ってくれたことや、馬券に向かう姿勢が私より真剣なことに驚きを隠せない。いつの間にそんな女になったなんだ。

「エピファネイアを買ったのよ」

なんだとぅ。

先月のジャパンカップでMはエピファネイアの馬名が気に入り、わざわざウインズまで行って馬券を購入したらしい。

「間違って1000円買っちゃった」

バカも休み休みいいなさーい!だいたい!何も間違ってませんしー!

「マークシートって難しいね」

私には返す言葉もなく、なぜか急に眉毛がかゆくなって思いっ切り掻いた。これ以上、眉毛が薄くなったら本当に困るんですが。

しかしこの女、いろんな意味でただものではない。それじゃってんで、朝日杯の馬名でピンとくる馬を、下心満載で訊く。アッシュゴールド~と、歌うように言ってほしい。

「クラリティスカイって買いたくなる名前だよね」

その通りだ。ここ最近の空模様が怪しすぎるため、私も何気に気にはなっていた。日本中を震え上がらせた今流行りの爆弾低気圧っぽい馬の捜索もしてみたがよくわからない。それからわーわーと、いろんな馬をあげて検討に入るが、私は数回口走ったのに、彼女からは1度もアッシュゴールドと聞けなかったように思う。

居酒屋オススメのたこといかのカルパッチョから、重苦しいお味のジンギスカンなどしこたま食べて、馬連という買い方を伝授して結論が出た。

ダノンプラチナからブライトエンブレム、クラリティスカイ、Mに「この馬はまったく来る気がしない」と言わしめたナヴィオンを外して、どうにか入れてくれませんかねと最後には拝み倒したアッシュゴールドとなった。今度こそ行けそうな気がする!

「プラチナとゴールドね。そういえばひところに比べて金の価値下がったんじゃない」

チッ!やなこと言うね、このひとは。

そんなこんなで結果は、1度も馬名が上がらなかったアルマワイオリが2着になって昇天。話の最後にMによって呪いをかけられたアッシュゴールドは8着に沈んだ。かわいそうに。

その後、薄気味の悪いMからの連絡はなかったが、きても返事を返す気力もないからちょうどよかった。

どこかに飛んで行った黒目がようやく定位置に戻ってきた夜遅く、Mはまたしても変なメールをよこした。

「有馬記念のCMの馬ってまた出る?」

・・・!もう笑えない。私にその話をさせたら長いぞ。

そりゃーオルフェーヴルのことだ。今出たって勝てるかもしれないと思わせる馬ですよ。

1回お父ちゃんを経験してカムバックするなんてことは、前例を知らないのでわからないけれど、普通の馬なら無理なことも、オルフェならみごとにやってくれそうでシビレてくる。競馬についていまだにわけのわからないMも、不思議と私と同じ気持ちになっていた。

「もう絶対に走らないの?」

やめて、それは言わないで(号泣)

去年の有馬記念。オルフェーヴル引退レース。この馬が、この先二度と全力で走ることはないと思うだけで気が狂いそうになった。

あの日、死ぬ思いで諦めたはずなのに。

たぶん自分がこんな風になるのが怖くて、彼の走る動画も一切みないようにしていたのに、CMでじゃんじゃん流れているものだからたまらない。そのたびに胸が苦しくなって、枯れた涙腺が生き返ったオアシスのようにじんわりと水分を蓄え始めてしまう。

競馬を始めてからいろんな競走馬を好きになって、泣いたり吠えたりしていたが、私の中でオルフェーヴルは別格中の別格。初めて好きになった栗毛の馬だった。2年ごとに更新しているエンディングノートには「棺に入れるもの」の項3番目に『オルフェのぬいぐるみ』と書いてある。

今年の有馬記念はたくさんの馬の引退レースになった。

私はトーセンラー。このちびすけ最後の走りをみてまた泣く予定だ。世界の~、や、女傑の隙間をすり抜けて飛んで来い。

「そういう競馬もあるんだね」

馬券に必死な時は、金銭が絡んで心がシビアになるのか、感動という大切なものとリンクすることは少ないように思う。Mはまだ、そこまでの域に達していないので無理もないが、いつかきっと、泣けたよと言ってくれる日が来ると信じている。

0001096885_1

今年の有馬記念

有終の美か?新時代到来か?

楽しみですね。

2年連続で中山生観戦できたのですが
今年は、抽選ハズレ

自宅でグリチャTVで観戦します。

結論は、これから!

餅代稼ぎましょう!!(笑)

私も去年の有馬記念に行き、引退セレモニーまでトイレなしの5時間最前列立ちっぱなしでした。
レースの時は4コーナーからオルフェーヴルがきた時にはもう、泣き叫んでました。
セレモニー。。。手を合わせ「オルフェありがとう♪絶対会いに行くからね♪」と誓いました。その念願叶って今年の9月オルフェーヴルに会えました。
写真を撮る手が緊張で冷たくなりました。でも、大切にされているのが嬉しかった。本当は走りたいんだろうなぁ~
と思ってしまう。私も、いまだに、オルフェーヴルが走っているDVDが見れないでいる。
また、来年会いに行きたい。
永遠の恋人オルフェーヴル♪

センさん、スミマセン!コメントをいただいていたのに年をまたいでしまいました!有馬記念、結局のところブログにも書きましたがスカという惨敗ぶりでした!ジェンティーの花道を観れたことが唯一の恩恵でしたよ~~

Mikiさん、お返事が遅くなりスミマセン!もしかしてオルフェファンですね?私も!!\(^o^)/彼が居なくなった今、有馬記念というだけでオルフェを思い出す始末です。1度だけ、スタッドインするオルフェに会いましたが、とてつもなくイケメンで世界一美しい栗毛の最強馬!という感じでしたよ~~。また会いに行きたいと思っています。

コメントを投稿する

絵文字を挿入

コメントは管理者が公開を承認するまで反映されませんのでご了承ください。

競馬女子部 コメント投稿規約

  • (1)コメント投稿は、ご利用者ご自身の責任において行われるものとします。ご利用者がコメント投稿した情報は、ご利用者自らがその内容について責任を負うものとします。
  • (2)公益社団法人日本軽種馬協会(以下「本協会」)はご利用者に対し、コメントの掲載内容(他のご利用者が提供する情報を含みます)についていかなる保証も負わないものとします。そのため、掲載コメントによりご利用者が被害を被ったとしても、本協会はご利用者に対して賠償する義務を一切持ちません。
  • (3)コメント投稿は、本協会が選別した上で本ブログに掲載されるものとし、必ずしも投稿のすべてが掲載されるわけではなく、また掲載されるまでにはお時間をいただきます。投稿内容の一部を本協会が編集・追記・削除した上で掲載される場合があります。
  • (4)コメント投稿が実際に掲載された場合でも、ご利用者に対する本協会からの謝礼等はございませんので予めご了承ください。

以上

上坂由香

出身地
北海道札幌市
職種
エッセイスト

詳細を見る

最新の記事

記事一覧

注目のコンテンツ!

  • ニコニコチャンネル
  • JBIS-Searchフォトギャラリー
  •  名馬フォトギャラリー

携帯電話からも
ご覧になれます!