2015年10月12日

オータムセールと王冠ゆる回顧。

「青空の見本はこうでござんす」と言いたげな、素晴らしすぎる晴天に恵まれた7日。

今シーズン最後のセリ「オータムセール」の最終日をわざわざ狙い、静内の北海道市場を目指した。

馬産地へ向かう道中、何の話で盛り上がったのか。今となってはさっぱりわからないのだが、助手席のカメラマンと車中で猛烈に話し込んでしまい、うっかり日高道に乗り損ねて(3年ぶり2回目w)苫小牧西まで行ってしまうという大アクシデント発生!

その後、羽根に火がついた雄鶏のように、黒目をちっちゃい点にして爆走したのち、セリが始まるギリギリの時間に到着!…あー、びっくりした。

しかしいったい、なんの話をしたら、大事な日高道を通り過ぎてしまうのか。男か。それだけはないな・・・。

たとえどんなことがあっても、勝手にハンドルが日高道に向かって回ってしまうー!というくらい身についた運転でなければいけませんね。

オータムセールの1日目と2日目は大変な人出で大盛況だと、事前に現地からのアナウンスを聞いていた。

3日目は最後の最後。本当に最後。よくない方のいいかたをすれば、まだ売れていない、神様どうにかお願いします的な崖っぷち感だってある。

わざわざ最終日を選んでやって来たのは、私らしい勝手な理由があった。

「ここに、未来のスノーフェアリーやトレヴがいるかもしれない」

でかい。でかい話だけれど、セリ場ではこのくらいの夢は想像しなければ。

2010年2011年とエリザベス女王杯を連覇したスノーフェアリーも、もはや説明がいらない(するけれど)2013年2014年の凱旋門賞連覇最強牝馬トレヴも、そもそもは買い手のつかない主取りの馬だった。

なぜ彼女たちがそんなことになってしまったのかはわからないが、高く競り落とされた馬たちが必ずしも走るわけではないという話も合わせて、最終日の動向を、大外の外野から、しっかりと見守りたいと思ったことが大きい。

牝馬ばかりを目で追っていた。

Autumn_s1

私の目の前を歩くかわいくて小柄の栗毛ちゃんはどうなってしまうか、あぁよかった、売れた。ご縁があった…ありゃ、この仔は主取りになってしまったけれど、ひょっとして、誰かが妙に気になって見ているもかもしれない…などと固唾をのむ。

Autumn_s10

ちょっぴり寂しい気持ちをごくんと飲み込んだ後は「値段はつかなかったけれど、いい馬だったよね」あなたたちのお父ちゃんは、どこのもんか素性のわからないうちの父親よりも立派だし、お母ちゃんも素敵なはずなんだから。

Autumn_s2

どうかみんな、スノーフェアリーやトレヴのように、少し遠回りをしても、いつか世界を見かえすような競走馬になれますように。

「買う気もないのに、勝手に祈るんじゃねーよ」

Accident2

そういったかどうかわからないが、そんな感じのタイミングで、1頭の仔馬がセリ後に放馬!!

Accident1

いい~感じに全速力で会場内を走り回っている。なかなかの走り。「いいね!」があったら付けたいくらいだ。

ここは静内。犬も歩けばホースマンだらけの馬産地ド真ん中。誰ひとり慌てる様子もなく、人々は仔馬が走る先々でさっと両手を広げながら無理なく追いつめ、あっけなく御用。これが札幌ならどうなっていたことか。

―――あのね、祈りってのは、たいがい自分勝手なことを祈るものなんだよ。

セリ場から逃走を図った放馬くんも、きっといい競走馬になるだろうと最後まで勝手に思うことにしたけれど、何番の誰ちゃんだったのかすっかり忘れてしまった。育成に行っても頑張って。逃げるなよ。

そんなこんなでオータムセールが終わり、ひと息つくヒマもなく、3日間開催で寿命が縮みあがりながら迎えた毎日王冠!オウカン?エイカン?エイシン?ヒカリ?え?ユタカがバラエティ番組に出た直後で1番人気?

いやいや、もうそういう魅力的なサイン馬券に手を出すのはなぁー。

ここは鉄板、心配ご無用、根拠は説明せずとも、おそらく間違いなしの出ましたアンビシャス「ぼくだけ3歳」

人気に押されているからとかいって、軸にしないような生意気を、私のような人間がやってはならない。来てもオッズが薄いからといって勝負しないのも困った方の競馬ファンなのだろう。

今年の毎日王冠(G2東京芝1800m)は、ここからたった1頭、天皇賞(秋)の出走権がGETできることもあり、休み明けの実力馬が勢ぞろいして、G1級の豪華なレースになった。

スタートは私のアンビシャスが、心配通りの出遅れ。いや待てよ。アンビはちゃんと出たけれど、ミルコがモタついて出遅れているように見えなくもない。勘弁してくれー。小さな馬体で最後尾を走る姿は、頭が低くてお父ちゃんにとてもよく似ている。最軽量をミカタにつけて、どこまでマクれるか。出遅れても夢はあるぞ。

ハナにたったのは予告先発通り、パドックで何を装着してもどうにもならない荒くれ系を披露したエイシンヒカリ。

スタートのうまいユタカに逃げのヒカリ。キズナが引退しても全然さみしくないのは、ヒカリの圧倒的な存在感と見覚えのある血統だからだろうか。

その後は黒と黄のシマシマ軍団3頭が追走。今年の札幌記念優勝馬ディサイファとリアルインパクトが続いた。あとの馬たちは、いかにも休み明けですごめんなさい状態でマッタリと追走。

最後の直線を向いても、ヒカリの輝きは失われることなく逃げに逃げまくる。途中一瞬、外にヨレそうになったところをユタカは修正をかけて真っ直ぐ走らせていた。典さんならそのまま馬なりにヨレるところだ。

「安心してください。逃げ切りますよ」ぷぷ!(これが言いたいだけ)

決勝戦手前で順位が入れ替わり、イスラが皐月賞馬の意地を見せたところで、ディサイファが力強くかわしてゴール。

恐れ入りましたエイシンヒカリ!これでも芦毛!一向に白くなる気配なし!

パドックであれだけ何か大切なものを消耗していると思わせてのこの強さ。不思議な馬だなー。

今日の逃げっぷりを見ていても、東京最後の直線の坂がどこなのかよくわからないほどヒカリの走りは力強かった。これは秋天に行ってもプロ予想家を悩ませる筆頭になりますな。

さて今日は3日間開催の最終日。体内時計を狂わす月曜競馬。

京都大賞典(G2京都芝2400m)がある。この距離で大賞典という文字がつくだけで、頭が混乱してしまうが、そろそろワンアンドオンリーの強いところを見たいけれど、ここはラブリーデイで。

写真撮影:長谷川さゆり氏

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以上

上坂由香

出身地
北海道札幌市
職種
エッセイスト

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