4月30日。札幌ススキノに3件目となる競馬Barがオープンしたときいて、先日の14日火曜日にお伺いしました。
『P.OZ(ピーオーズィー)札幌』
(南5西3ニューブルーナイルビル4F)。
競馬場のコースを思わせるターフ色のカウンターがゆるやかに曲線を描き、座り心地のよい上質なチェアーが身体を包み込みます。まずは、さっぱりとした味でとても飲みやすいデンマーク産のビール『カールスバーグ』で、同行した相棒と乾杯です。
店内には大型スクリーンがあり、伝説のレースや牧場の映像が音声なしで流れ、会話の邪魔をしないBGMの中で思い思いの競馬を語り合うことができます。現在はまだグリーンチャンネルをみることはできませんが、まもなく開設するということで、競馬中継だけではなく、競走馬を題材にした映画やドキュメンタリーなどの番組をゆったりと時間をかけて放映しても、上質な雰囲気を壊すことなく十分に楽しめそうです。今後、そういったことも含めて、素敵な可能性を秘めたお店だと思いましたし、カウンターの隅っこに寺山修司氏がひょっこり座っていても、それはそれでありかな?と思える空間でした。
店長の佐藤宏樹さん。中華の料理人だった経験を生かし、おしゃれなフィンガーフードも品数多く充実しています。この日私は『ダックのクレープ巻き』をいただきました。甘辛味噌のアクセントがビールによく合い、とても美味。あえてお箸を使わないフィンガーフードというメニューに、欧風の小粋さを感じました。
お店の方とお話しができるのも、カウンターの良さですね。もちろん、数名がまとめて座れるボックス席もありましたのでご安心を。
「馬券は穴党ですし、血統班なんですよ。」そう語る佐藤さんに、私はほんの少し身を乗り出して、
「穴党…去年引退したトウショウシロッコをご存じですか?」
地味な存在ながら、毎度連帯に絡みつつも、最後まで重賞を取れなかった愛馬トウショウシロッコのことを憶えていてほしい。小さな願いがふわりとほころびました。
「もちろん知っています!惜しいレースが続きましたよね。何度も馬券でお世話になりました。」
おいしいお酒も手伝って、私たちの競馬談義は続いてゆきます。
「新潟記念では、最後のゴール前でナリタクリスタルに差されてしまい、3連複が的中しても全然嬉しくなかったんですよ~」
あの時の悔しさがメラメラとよみがえり、あっという間にカールスバーグを2杯飲みほしてしまいました。
「重賞をとる難しさを何度も教えてくれた馬でしたね。トウショウシロッコはぼくにとっても思い入れのある馬の1頭です。」
佐藤さんの優しい声が、思いがけず再燃した私の気持ちをクールダウンさせ、もう一度ちゃんと、シロッコを思い出にしてくれました。
こうして懐かしいレースをふりかえって、その時の熱い気持ちに戻り、感動の共有ができるのも競馬の良さのひとつ。記憶のスポーツだと言われる所以はそこですね。何度も引き出しては味わう。味わい尽くしたら、もう一度大切なフォルダーにしまい込む。その繰り返しを心の底から楽しんで、未来への階段、毎週やってくる「今の競馬」に踏み出し挑んでいく!それが競馬ファンの真髄だと私は思うのです。
カウンターの右端にたまたま居合わせたお客さんが、ふんわりと流れていった馬の名前にふと顔をあげて「今、わたしもそのレースを思い出していますよ…」という仕草をしてくれます。特別な言葉を交わさずに離れていても、回想の中に自然に溶け込んで、お店全体が素敵な「情熱大陸」のようです。もしここで、歴史的ライバル馬たちのそれぞれのファンが出会ったら…。そんな静かな闘いを、横でにこにこして聞いていたいな。
何だかとても気分がいい帰り道。ススキノのネオンを全身に浴びる健康促進も久しぶりでしたが、好きな馬の話を遠慮なく思いっきりできる場所が、行動エリアの中に追加された嬉しさでいっぱいになりました。
札幌には競馬Barがあと2件ありますが、次回の「夜間放牧(単なる飲み屋めぐり)ススキノ編」は、『エルコン』と『ミッション』のハシゴをしてみたいと思います。なんて贅沢なんでしょう。肝臓が丈夫でよかった。
さすが、札幌。素敵なところですね。
ここでビール片手に仲間と競馬を語ったら・・・
毎日朝帰り確定(笑)
東京じゃなかなかこんな競馬バーみたいな
ところありませんからね
札幌競馬場行った帰りには、ぜひ寄りたい
あっ、今年札幌開催がない・・・(笑)
しょう 2013-05-16 21:26:36
しょうさん、コメントありがとうございます!
東京には競馬Barみたいなお店はないのでしょうか?
しょうさんのお話をきいて
北海道らしいBarなのか?とあらためて思いました!
札幌のお越しの際はぜひに♪
上坂由香 2013-05-18 17:11:36