以前、牧場に勤務していた友人が
「馬のことを覚えているかどうか、記憶に残っているかどうかは“クラス”じゃない」
と話していたことがありました。
”クラス“ではない、というのは、
どれだけレースで活躍したか、ではないということ。
もちろん、
誰もが憧れる大きなレースでたくさんのファンの声援の中に立っていたり、
鮮やかにゴールを駆け抜ける姿は、
多くの人々を魅了し、その記憶に残る・・・それを踏まえての話です
その時はおぼろげだったその言葉から伝わって来た「想い」を
今は本当にそうだな、と思うことも多々
そんな「記憶に残る」馬の中の1頭、ネオスレイプニル(父アサティス 2001年生まれ 静内フジカワ牧場生産)。
私がこの仕事を始めた頃に厩舎にいて、その表情豊かな姿にたちまち心を奪われました
母父が、好きだったダイタクヘリオスというのも何かの縁だったのかも知れません。
出会った時はすでに古馬でしたが、
なんというか、普通にしていても面白い仔、というか、
ちょっとしたしぐさがひょうきんだったというか
きっと人間だったら「一緒にいて楽しい人」なんて言われそうなタイプ。
夏を前にした厩舎で、少しでも涼しくなればということで設置したミストシャワーを
初めてつけてもらった時のネオちゃん
あっという間に馬房の奥にひっこんで
「なに?なに?なんなんだろう?」とびっくりまあるいお目目に
耳も微妙な気持ちを表して・・・。
厩務員さんが「大丈夫、怖くないよ」と声をかけていました
こちらはノドが乾いてお水を飲みたいネオちゃん
「水、早くっ。お水ー!!」という声が聞こえてきそう。
それまで、近くに置いてあるバケツをガン見しながら、前カキでおねだりしていましたが
お水を運んできてくれた厩務員さんを見つけると上の写真のように
キラッキラの目で待ち遠しいよオーラ全開
ある時、取材に行った近郊牧場で、
放牧に出ていたネオちゃんと遭遇したことがありました。
その時の彼は・・・
近くの放牧地にいる若い牝馬ちゃんたちに向かって
「おれ、ネオスレイプニル。8歳。おれ、ネオスレイプニル!」というように
唸ったり柵越しに追いかけたりで存在アピール
栗毛の3歳牝馬ちゃんは
「なに、おじさん・・・ちょっとこわいんだけどー」
みたいな雰囲気でトコトコと放牧地の奥へ
そしてちょっぴり悲し気なネオちゃん
ネオスレイプニルを思い出す時間。
それは懐かしく、やさしく、ちょっとクスっとしてしまうひとときです。
どの馬にも、そんな誰かがいるといいな、と思いながら。
さて、今週末からJRAでは新潟開催スタート
某カメラマンさんから教えていただいたのですが、
新潟競馬場のキッズコーナーはかなり充実しているそう。
パドックの藤棚の木陰も夏らしくていいですよねぇ
新潟は古町の商店街をはじめとして、海あり山ありで大好き
今年も夏の馬旅を楽しみたいと思います
駐車場で並んでいる馬運車。
ここから美浦や栗東へ帰っていくんですね