6月10日。
たまたまうちの息子の誕生日という忘れがたい日に、現役を引退した競走馬を1頭でも多く、安心・安定して飼養するための連携と情報の共有を目指した引退馬連絡会が設立されました。
この会の設立は、引退馬の維持向上を目的とした牧場間の情報交換や、引退馬への関心を深めることを目的としたイベントの開催、「引退名馬繋養展示事業助成金」交付に関する提案、現状では十分といえない助成金の新たな開拓や基金の創設などの活動を主にしていくそうです。
私も縁あって、引退馬を引き取ったことをきっかけに、預託できる余生牧場の少なさや、助成金対象外馬の厳しさを知りました。
ずっと応援してきた馬の引退後のことに思いを寄せ、よりよい余生を送ってもらいたいという気持ちは、日本中に星の数ほどあると思いますが、北海道に住んでいる私でさえ、庭先に馬を置き、一緒に暮らすことは現実的にとても難しいもの。なかなか理想に近づくことはできません。
引退馬を引き取った後、「現役の贔屓馬がいるが引退後を案じている。引き取りたい気持ちがあるが、どうしたらいいのか」「それは一般人でも可能なのか」などの問い合わせが数件ありました。その時は、自分の経験したことだけをお話しましたが、馬の余生について関心を持ってくれるひとが意外に多いことがわかりました。
みんな、好きだった馬には最後まで幸せに生きていてほしいんですよね。
年間およそ7000頭生まれる「生産」の世界から「育成」、「競馬」を経て、生まれ故郷の北海道に無事帰って来る馬や、新しい「就職先」に行ける馬は何頭いるのでしょうか。
そもそも競走馬は馬主さんが所有している「よそ様の馬」。そのことについて、外野がとやかくいうのはよくないことだと思っていました。
けれどもし、引退後の「受け皿」がしっかりと確立されていれば、馬生につながる道も今よりずっと増えるのではないでしょうか。
今日は久しぶりに乗馬クラブへ行き、1鞍乗ったあと、馬の手入れはもちろん、ボロ拾いや飼い葉をつけてきました。
長い間トルネードダンサーという馬が私の相棒でしたが、3年前、彼は廃用になってしまい、私の手元には彼の健康手帳が遺品として残っています。もしその頃、余生・養老牧場があるという知識が私にあれば、彼を預けにいったかもしれません。
「知らない」というのは、時にとてつもない後悔を生むんだ、勉強しなくてはいけない、そんな風に思うようになり、休みの日は余生牧場を訪ね、それぞれの牧場の特色や預託料、馬房の空き具合をまとめるようにしています。
先日も、愛馬を余生牧場に預けたいという方のお手伝いができ、このメモが役にたってとても嬉しかったです。
トルネードダンサーがいなくなってから、しばらく馬に乗る気になれませんでしたが、ここ最近は、少しずつ乗れるようになり、現役当時、最後の鞍上は武豊というハギノレジェンドが、心のリハビリ相手をしてくれます。その後何百人もひとを乗せてきたレジェのたくましい背中に跨り、私にできることは何かな、ねぇ、どうしたらいい?なんて、ぶつぶつ言いながら乗っています。
念願だった引退馬連絡会ができ、これからいろいろな連携ができるようになるでしょう。
行き場のない馬たちに仕事をみつけてあげるというのも、ひとの大切な役目。あわせて、乗馬人口も、もっと増やす努力をしなければと思います。
余生牧場の方々は、馬たちの世話に追われて、なかなか情報を発信できないとジレンマを慢性的に抱えていると伺いました。今後は連絡会を通じて、「今までやりたかったこと」ができる環境になりますね。
9月14日は、新ひだか町静内で「引退馬ホースサミット」が行われます。どなたでも参加できますので、この機会に引退馬について一緒に考えてみませんか?
日程は決まりましたが、場所や時間はこれからだそうです。
詳細が決まり次第、またこちらでお知らせしたいと思います。
生産者が愛情こめて育てた仔馬たちが、競馬というスポーツで私たちを楽しませてくれた後に
「馬として天寿をまっとうできる」。
それが日本では当たり前のことになりますように。
どのお馬ちゃんに余生があればと願います。
私の愛馬も1頭の.安否が分からない仔がいます。関西方面はネットで.探して周りましたが・・・
現役時代は.全開催地走ってくれたので
せめて.第2馬生はゆっくりと思っていましたが
臆病な所がなかったら.誘導馬も出来たみたいですが
でも未だ諦めず.全国探しています。
gra 2014-06-16 16:35:13
graさん、こんにちは♪
graさんにもそのようなことがあったのですね。
実は私もトルネードが「出された」ときいて、「行った」と言われる牧場まで探しに行きましたがいませんでした。あの時の衝撃は母が亡くなった時の次くらいに悲しくて、なかなか立ち直ることができませんでしたよ。
graさんの愛馬も、どこかで元気にしていてくれるといいのですが。
私はトウショウシロッコを引き取りましたが、それは行方不明になって後悔したくなかったからなんです。シロッコは私の運命の馬なので、一生面倒をみさせてほしいという気持ちでいます。引退馬の馬生は未だ厳しいものですが、近い将来、必ず、広い北海道に余生牧場がたくさんできて、みなさんが贔屓だった引退馬に会いに来れる環境を整えますよ!
上坂由香 2014-06-17 08:37:36