昨日の中京、高松宮記念の時間は、前夜のドバイ中継観戦の余波を受けて、とにかく寝不足。ここで何か食べると、死ぬまで寝てしまいそうなので、朝から絶食とあいなりました。
「でもな、意外とスッキリしてんだよね…」
短いながらもきっちりノンレム睡眠がとれたのは、ラニ(母ヘヴンリーロマンス)とリアルスティール(父ディープインパクト)の勝利で、四十肩を忘れて盛大に万歳したのと、ドバイの真ん中で「ドゥラえもーん!」と、愛馬の名を叫ぶ知人の笑顔が伝わってきたからなのだと思う。
レース直前の落鉄で、素足で走って2着だったドゥラメンテ(父キングカメハメハ)に、立派でした!と拍手を送りたい。
そんでもって、私の大好きなホッコータルマエ(父キングカメハメハ)の話は、彼のファンとして、いろいろ思うところがあり口を開けば猛毒しか出てこない恐れがあるので、あえてカット。とにかくただちに帰国してほしい(そのまま北海道へ!)←熱望
長すぎる前置きはこの辺にして、第46回高松宮キネーン!(G1芝1200m)
今年の宮杯は、何が何でも先に行きたい馬が多く、馬場もパンパンに乾いて高速決着必死!出たはいいけど、横の馬ばかり気にして面白くない「お先にどうぞどうぞ」競馬を一刀両断。これぞ日本のスプリンターの走りである!という素晴らしい競馬になった。
ただでさえ速いスタートの馬たちをおっつけてハナに立ったのは外枠のローレルベローチェ(父サクラバクシンオー)と、ミッキーアイル(父ディープインパクト)をかわしてハクサンムーン(父アドマイヤムーン)が主張。4番手にビッグアーサー(父サクラバクシンオー)が追走するかたち。
ベロもハクサンもアイルもアーサーも、とにかくまとめて馬券にしていた私は、ひとまずギャアと叫んでゆけゆけコール。忌々しい中京最後の坂を上がったところで、外から飛んで来たのはビッグアーサーだった。
「いっくんーーーー!」
デムーロのように、ノールックでがむしゃらに追う福永騎手の愛称を叫んでいた。
―――なぜ祐ちゃんではなく「いっくん」なのだろう。
しかもなんで私は、決勝線手前の大事な時に、そんなことを思ったのか―――
意識をテレビ画面に戻すと、馬体の筋肉踊るビッグアーサーが、7の壁をもぶち破る1:067というレコードタイムで駆け抜けていた。世界のロードカナロアは1:08だったので、いかに速かったか。2着にミッキーアイル、3着はアルビアーノ(父Harlan’s Holiday)が入った。
おかげさまで、私の3連複フォメ(1頭軸の3頭ー3頭)は、激安ながらもみごとに的中。ちゃんとパドックを見て買うと、やっぱりいい感じに来るなぁと実感しちゃいました。
ちょっとー、痛いでしょそれは!というくらい、アーサーの首を叩いて喜ぶいっくん。
先週あたりから、連続で重賞を勝ってきた福永騎手であっても、G1勝ち、とりわけ「心に思うところがある」気配の勝利は、格別のようだった。
リアルスティール。
ドゥラメンテと同期のこの馬は、さんざんコンビを組んできた福永騎手ではなく、外国人騎手でドバイG1を勝つ。その翌日の高松宮記念。しかも、私には、リアルとアーサーが同じような位置取りで、同じような最後の見せ場で勝ったように思えてならない。すごく似ている。
私は時々「脚を余し気味の」と、よくない方の枕詞をつけて福永騎手を紹介することがあるが、リアルとアーサーのおかげで、彼はもう違う人になった。枕詞はもう使うまい。
この先も、どこまでも、いっくんはいっくんだと思うけれど、当の祐ちゃん(野平祐二氏)は、
「平成の祐ちゃんは頑張っているな」と、口笛を吹いていますよ。きっとね。