2014年11月10日

地球に空があってよかった。

日曜日。

小春日和。馬日和。

我が家恒例の冬支度も終盤にさしかかり(庭の木の雪囲いなど)、あとは、何でこんなものがウチにあるんだろうと呆れながらまとめた燃えないゴミを出すだけ。

私は異常なまでの捨て魔なので、本来なら「こんなもの」なんかあるわけがないのに、世帯主と私の産駒(22才牡 黒鹿毛)は自己のゴミに対して、がっかりするほど女々しく、捨てることをためらい続けるため、否応にも粗大ゴミは溜ってゆく。

私なんか、読書はあまりしないと言いながら、なぜだか自然に溜ってしまう本までも、時々図書館に寄贈してスッキリしているというのに。

しゃべらないモノに執着したって、何か恩恵があるとは思えないのだけど。

その点、馬はいい。

ヒトの言葉は話せなくても、ちゃーんと気持ちが通じるし、どんなに執着してしつこくウリウリ触りまくっても、もっともっとかまってくれーって、めんこい。反応があるっていうのは幸せなことですね。

小春日和。馬日和。

毎度わけのわからない小用で行けずにいた乗馬クラブへ向かい、久しぶりに馬乗りをしてきた。

クラブの専務はトウショウクリーム(父メジロマックイーン)に乗れといったが、クリームの顔を見に馬房へ行くと、とても馬とは思えない怪物ぶりで、柵越しに噛みつこうとしていた。

なんであんたはいつもそーなのよ、猛獣注意って書くわよと捨て台詞を吐いて退散。土日手伝いに来ている北海道大学馬術部の女性陣営には何ともないらしいので、さてはクリーム、私が中年女性だからあんな恐ろしい顔をするんだな。くそぅ。

気を取り直して、新しく入った(といっても数か月経ってるかな)ネイチャーヒーラー(父ヴァリアントネイチャ USA)に跨らせてもらった。アメリカ産馬に乗れるなんて、なかなかないことなので、少々おまたが緊張したが、とても柔らかい乗り心地と、半分寝てるんじゃないかと思うくらい温和な性格が気に入った。

ゆっくりと常歩をしながら、何か話をしようじゃないか。まさかネイチャー、Youはイングリッシュってわけじゃないだろうね?

当クラブにはオーストラリア産馬リッチーステートというオルフェーヴルにそっくりなイケメンの馬がおり、彼のオーナーは英語でリッチに話しかけながら乗っている。ネイチャーが日本語はもとより、私が得意とするこてこての北海道弁もちゃんと通じますように。

この日の北大生たちは、かわいい女の子ふたり。なんとなくその仕草から北海道民じゃない気がして、くにはどこだい?と訊ねると、

「日本です!」!!…。

若い世代に「国(出身地)はどこ」と訊いても通じないといっていたバラエティ番組は本当だったが、ただ単に自分が中年であると再度自覚するだけのことで、言わなきゃよかったとちょっぴり照れてしまう。クリームが何で私に怒るのか、いろんな意味でわかりました。

東京と広島の出身。馬術部といっても、まだこれからたくさん練習をしなければならないようだったが、専務の鬼レッスンにも耐えて、5秒刻みに上手くなっているのが肉眼でわかる。頭のよいこたちは、おしえられたことを瞬時に身体に伝えることができるんだと思った。

レッスン見学が終わり、やれやれ~などと言いながら、おもむろにスマホを取り出してみると世界は一変していた。

スダチ…。

落馬で地面に叩きつけられた後藤騎手の傍に寄りそう姿から、平成のキーストンといわれたシゲルスダチ(父クロフネ)がこの世を去っていた。先日のメルボルンカップ後に亡くなってしまったアドマイヤラクティ(父ハーツクライ)の悲報に続き、涙が乾ききる前の出来事に言葉も出ない。

こういう時、きまってヒトは、馬の世界に神様がいないような気がして失望してしまうが、私は神様にも限界があると思っている。

どこかに神様はいるのだろう。

彼(神様をこう呼んでいいのか悪いのか)は、馬の命を救うことができなくても、私たち競馬ファンに向かって、滔滔と祈り続けているかもしれない。

『悲しいことがあっても、心が折れませんように。どうか皆さん、競馬を嫌いになりませんように』

だからまた、ヒトは這い上がって競馬ができるのかな。

そんな風に感じて神様を擁護するのは私だけかもしれないけれど、力なくうつむいた後に心を整えたくて頭をあげれば見えてくるもの…。

地球に空があってよかった。

小春日和。馬日和。

スダっちゃん、今まで私たちを楽しませてくれてありがとう。

みんなあなたが好きでした。

一度でいいから、会いたかったです。

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シゲルスダチくん、後藤騎手のFB記事で訃報を知りました。数日前に、ゴッティーはスダチくんにたまたま再会して思わず跨ってしまったと、嬉しそうに書いていたのも目にしていたので、切ない気持ちがなおさら…。
競馬はただ競い合うだけでなく、馬と沢山の人々との温かいドラマがあるから飽きないですよね。
優しく一途なスダチくんのご冥福をお祈りいたします。

スダチ君の旅立ちを知り、(色々なエピソードを目にすると尚、)今、泣きながら、この、メールを書いています。         ところで先日(7日)、ちょっと伺いたい事がありまして、協会の沼田代表から携帯にお電話を戴きました。
その時、引退馬サミットで、代表が上坂さんと会われたお話が出ました。
無事、競走馬生活を終えて、幸せな引退馬生活を送れる馬が、一頭でも多くなる事を、願ってやみません。 

ふぅちゃんさん、こんにちは♪
後藤騎手にとって彼の存在は、またスダチに乗りたい、乗って勝つんだという最大のモチベーションだったと思います。こういってはなんですが、それほど強い馬でなくても、みんなみんな物語を持っている、それが競走馬なんでしょうね。こんな風に突然終わってしまうなんて、本当に残念でなりませんよ。
皆に愛されたスダチ。今は天国で競馬界を見つめてくれていると思います(T^T)

白馬が王子様さん、こんにちは♪
スダチは脱臼骨折だったようですね。それでも倒れず、騎手を落とすことがなかった彼の優しさと根性に敬服いたします。本当に残念ですよ。スダっちゃん♪ってもう、呼べないんですよね…あらら、また涙が出てきました。
沼田代表とはお話ししましたよ。シロッコを引き取る時にも大変お世話になりました。
無事に引退するまで、私たちの祈りは続きますね。

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以上

上坂由香

出身地
北海道札幌市
職種
エッセイスト

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