2016年11月16日

記憶とたんぱの競馬実況

horseみなさまこんにちは、河合紗希子です。

私は普段ナレーター・声優としてお仕事させていただいているのですが
先日のこと、NHKのアクセント辞典をペラペラとめくって、ふと自分の「話すこと」のルーツはどこにあるのだろうと思う機会がありました。

アクセント辞典というのは、NHKが放送に適しているとしたアクセントをまとめたもの。
アナウンサーやナレーター、声優など、話すことを仕事とする人にはお馴染みの辞典です。

出版元はNHKの放送文化研究所で、今年このアクセント辞典が18年ぶりの大改訂を行い、これまで放送に適していないとされていたアクセントが加わったり、逆にこれまであったものが削除されたり、アクセントを表す記号が変わったりと、なかなか大きな変化がありました。

たとえば、個人的についにきた!と思ったのは動物の「熊」。
熊のアクセントは、これまで適しているとされていたのは「クマ\」(マにアクセント、次にくる言葉は下がる)のみ。
「クマが」と言うとすると「ク↓マ↑が↓」が放送的に適しているとされていました。
つまり頭高型の「ク\マ」(クにアクセント、ク↑マ↓)は、一般的に耳にする機会は多いものの放送的には「適していない」アクセントだったんですね。

今回の改定では、ついにその「ク\マ」がアクセント辞典に加わったんです。

私は「“く↑ま↓のプーさん”がついに放送的にも市民権を得た…!」とひそかに一人で興奮したりしました(笑)。
言葉は生きているというのをよく耳にしますが、まさにそういうことなのだなあと。


horse私は出身が東京なこともあり、アクセントに悩むことはあまり多くないのですが、やはりこの辞典は必携のアイテムです。

それは、聞いてくださる方が耳にしてパッとわかる言葉を使うことが、話すことを仕事とする者の最低限のマナーだと思うから。
アクセント辞典は、そのためのいわば「ガイド」なわけですね。
最も多くの人が音だけ聞いてもすぐにイメージできる言葉を使いたいから、引っかかる音はすぐに辞典で調べます。
(正しいアクセントを使うことだけが目的になりかけて、何のために、が抜けてしまっているようなワークショプなどはいかがなものかなァとも思います。)

そんなことを考えているうち
ふと、私が目指している「聞きやすさ」というのは、一体、自分がいつ・どこで・どんなふうに出会たのだろうという疑問にぶつかりました。

自分がお稽古している時、話すとき、無意識にガイドにしている自分のなかの「聞きやすさ」の基準。
これが自分の中に形成されたのは、はたしていつなのだろう?と。

 アナウンスを専攻していた大学時代?
 演劇への道を目指し始めた高校時代?
 演劇部だった小学生?

行きついたのは、もっと昔でした。

私は、祖父や親戚が競馬関係者ですが、それとは全く関係ない家庭で育ったことは度々このブログでも綴ってきた通りです。
けれど、祖父母の家に遊びに行ったり、土日になると、必ず競馬中継が流れていました。

私が最も鮮明に覚えている子どもの頃の記憶は、祖父母の家に遊びにいったとき、祖母が奥の部屋で、大きな雑音が混じるラジオを一所懸命窓の側で聞いているシーンです。

子どもの頃はなぜ祖母があんなに雑音だらけのラジオを一所懸命聞いていたか全くわかりませんでしたが、今ならわかります。

きっと、ラジオたんぱを聞いていたのですね。
祖父や親戚の管理している馬が出走するレースを、少しでも電波を受信しやすくしようと窓際に寄って一所懸命聞いていたのでしょう。

そうそう。
覚えています。

祖母がラジオを一所懸命聞いている姿も
ラジオは雑音だらけだけれど、
実況は何を伝えているかとてもハッキリと、鮮明に聞こえていたことも。

そして、そのラジオから聞こえる実況で、ゴールに向かって盛り上がる競馬場の雰囲気をまるでそこにいるかのような気持ちになって味わっていたことも。

言葉が鮮明にわかるだけでなく、
レースの状況がまるで映像を見ているかのように伝わる競馬実況。

これが無意識のうちに私が目指していた「聞きやすさ」の原点だったんだなと、漸く気がつきました。

自分から競馬に興味を持ったのは大人になってからですが、自分が意識していない部分でも、知らずに多くの影響を受けていたんだなと改めて思った出来事でした。

Img_20161116_212445

今年大改訂で新しくなったアクセント辞典。
めくっているうちに、なぜか手がキラキラになっていました。

この表紙と背表紙のピンクのキラキラ…
おちます。



ではではみなさま、今週も素敵な競馬ライフをclover

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こんにちは🙇

河合さんのルーツしっかり受け取りました❗

実は最近悩んでいました。(国語力がなく読みにくいと思いますが🙇)

世間的に言いますと、馬券師になることを決意して、早いことで一年が過ぎようとしています。

今年一年はまるで、別人のような感じでした。

ただ悩み、苦しみ、もがいていただけ。

孤独も辛かったです。回りからはひたすら中傷的に言われて、自分を支えるだけで精一杯、、、そんなんで勝てる訳もなく、無情にも時間だけが過ぎていく感覚でした。

河合さんの今回の記事を読んで気が付きました。自分の考えの98%間違っていることに、そして知ることができました。正しい道を。

自分が本当にしたいことがいまは鮮明に見えます。

少しは進歩できそうです。

本当にありがとうございます。

また来週👋😘


長々と自分勝手な文書でごめんなさい🙇

一つ贈り物します🎁

たんなる言葉遊びです。

自分勝手-自分=

では✌

>まさひこさま
ご来訪&コメントありがとうございます!毎度の亀レスで本当に申し訳ありませんbearing!!
悩んでいらした様子、実はなんとなく文面で察しておりました。私のBlogが何かのきっかけになったのならば、とても光栄です(^^)
私が声優の養成所時代にお世話になった落語の師匠がおっしゃっていて、当時の私が非常に印象的だった言葉に「自分の芸を磨くということは果てしない孤独との戦い」というものがありました。表現は正解がない世界なので、いいという人もいれば悪いという人も必ずいる。その世界で自分の芸を磨くかは、自分が信じた道をぶれずに見つめ続けることがとても大切だ、と。そして「そのためには自分の価値観を磨きなさい、良いものも悪いものもたくさん見て、自分の目指したい目標を自分の中に早く作りなさい、自分で感じて考えなさい」という言葉に繋がりました。
私も今でもかなり悩んだり立ち止まったりしますが、そんな時は「自分の中のスポンジがカラカラになったんだな、ではお水を吸収しよう」と切り替えるようになりました。人間の気力も元気もアイデアも、スポンジのようなものと思います。カラカラになると絞っても何も出てきません。アウトプットのためには必ずインプットが必要だと思います。あまりご無理はなさらずに、アウトプットしすぎたと思ったら、スポンジをひたひたにする休養も適度にとってくださいネshine

ありがとうございます。

その御言葉も力に変えて精進します。

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以上

河合紗希子

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声優・ナレーター

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