2022年05月23日

新たな親仔のカタチ

新ひだか町から、こんにちは。

突然ですが…
今回皆さまに見て頂きたい動画がこちら👇


YouTube: 馬産地の春2022~谷岡牧場「新たな親仔のカタチ」

先週、谷岡牧場の谷岡康成代表より「興味深いものがあるから見に来ない?」と連絡がありました。
引退繁殖牝馬を乳母付けしたとのこと。

あまりピンとこない状態で、牧場へ向かいました。

厩舎の馬房を覗いてみると、よく見かける馬の親仔の姿があります。

「親仔ですよね…?」と思わず聞いてしまいましたが、ほんの2時間前に初めて出会った2頭とのこと。
母馬が1週間前に疝痛で亡くなり、仔馬はずっと1頭で過ごしていました。

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競走馬の生産牧場で乳飲み仔の母馬が亡くなった場合は、重種の乳母を借りることがほとんどです。
しかし、仔馬の横にいるのはサラブレッドの牝馬。

何より驚いたのが、すでに繁殖を引退した牝馬ということです。引退しているので、もちろん今春出産しておりません。出産していないということは、乳も出るはずがありません。

頭の中がハテナ?でいっぱいです。

今回の乳母付けの際、これから仔馬と過ごす牝馬に『PGF2α』というホルモン剤を注射したとのことでした。
繁殖についての知識が浅いので、ひだかうまキッズ探検隊で毎年お世話になっている獣医師の井上裕士先生にお話を伺いました。

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「PGF2αは黄体を退行させるホルモン剤として、今までも他の治療に使用してきました。今回はこのホルモン剤を注射した際に子宮頸管をマッサージし、その粘液を仔馬に付けて乳母付けを行ないました。数年前から海外や日本で行なうようになった方法です。初めて行ないましたが、繁殖牝馬の性格が穏やかだったこともあり、すんなりと仔馬を受け入れました。これから乳母は、乳の出が良くなる薬を毎日服用します。仔馬が乳を吸う刺激からも乳量が増える可能性もあります。」

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動画では、仔馬は左右の乳を交互に何度も吸っています。
乳母はあまり出ない状態で吸われるのが痛いのかしっくりこないのか、後肢を蹴り上げる素振りを見せます。

それでもじっと仔馬に乳を吸わせ、寝ている時はそばに寄り添い、飼い桶に一緒に顔入れてきても怒らずに共に過ごす姿は感慨深いものがあります。

新たな親仔のカタチ、是非ご覧いただけたら嬉しいです。

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以上

糸井いくみ

職種
一般社団法人umanowa(うまのわ)代表

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