土曜日。場所はススキノ某所。色とりどりの賑やかなネオンにも負けないくらい光り輝く満月の夜。
今年の春先までJBIS競馬女子部でコラムを書いていた調教助手の伊藤春菜さんとようやく会うことが叶い、満を持しての食事会!おんなふたり、ひっくり返るほど激しく食い倒れてまいりました。
春菜さんは現在、美浦の久保田厩舎勤務ですが、以前はトウショウシロッコがいた大久保厩舎だったこともあって、気がつくと、もうずいぶんと前からのおつきあいでした。
調教助手さんとひとくちに言っても、春菜さんのように馬のお世話はもちろん、「攻め馬」まで乗りこなす方は限られおり、しかも女性となると、日本にはほんの数名だけ。元女性騎手の助手さんはいても、高校卒業から牧場勤務を経て美浦入りした春菜さんのような女の子は、指が5本いらないくらいになってしまいます。
「お酒はそんなに呑めないんですけどね」
そういって、みかんのモヒートをおいしそうに飲む春菜さんの小さな手は、手のひらに石ころが入っているのではないかと思うほど筋肉が盛り上がってカチンコチン。毎日何頭もの、それもまだちゃんと競走馬になりきれていない危ない荒馬も含めた1馬力に耐え抜いている、みごとな職人の手をしているのです。
おんな率のなかなか上がらない競馬界の調教部門において、腕力の差を感じさせない春菜さんの「競馬いろいろ物語」を肴に酒を呑んでゆくと、強い女性のかっこよさ、頼もしさ、終いには「なんて美しいのだろう」と、モヒートにのどを鳴らす春菜さんに惚れてしまいそうでした。いや、もう完全に好きになっちゃったなこりゃ。だって見てしまったもん。春菜さんのヌード写真!全身が筋肉と気合で磨き上げられているホンマもんのビルダー。人工的に作られた気持ちの悪いものとは全く違う、ナチュラルでスパッとキレ上がるイイ~からだしていましたよー。
「カラダも大変ですが、精神面のキツさの方がハンパないですよ」
毎日、あの大きな馬の傍や鞍上で、だいの男でも悲鳴を上げる調教という仕事に身を置く春菜さんの表情には、私が生涯一度も決意したことのないような覚悟がみなぎっており、日々とめどなくやってくる朝の緊張感に押し流されそうになりながら、
「それでもかわいい馬たち」の馬装に彼女の優しさが反映されています。
春菜さんの担当馬たちが競馬に向かう時、手入れの行き届いたタテガミや尻尾は「お守り」のように編みこまれ、「無事にレースを終えて必ず帰っておいで」と、子どもたちを戦地に見送る母の祈りの馬装なのだと思いました。
馬の仕事はケガがつきもの。思わぬことであっけなく命まで取られてしまう、時に切なさを孕んだ過酷な職業です。これからもケガや事故に気をつけて、頑張って。近くのひとに言えない「ため息」があれば、北海道のおばちゃんが気持ちよく引き取って吸い取りますからね。
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そして昨日の札幌競馬~~~~!
キーンランドカップはもちろん、ワールドスーパージョッキーズカップのダブルヘッダー!
10Rには、春菜さんが担当しているボブキャット(父ダイワメジャー、母カーラパワー)牡5歳が出走です。某スポーツ紙の印も盛大に付いて、この日絶好調のモレイラ騎乗ブラヴィッシモ軸から、典さん騎乗のウエスタンソーレ、福永さんのオルフィーク、金沢競馬のトップジョッキー藤田騎手のアドマイヤサブリナ、戸崎さんのタカラジェニファ、そしてボブキャットを3連複で流しまくり!
結果はユタカを買っておらずドボン。ボブも最後まで粘りましたが8着!ここから私のオケラ快進撃のはじまりです。
11Rのキーンランドカップは、不思議な日本語をあやつる岩田さんが、サムライ魂を見せつけてくれると信じてディープインパクト産駒のレッドオーヴァル軸。そこからまたしてもモレイラさん騎乗のエポワス、出室さんも頑張れ!スギノエンデバー、ティーハーフ、なおすけのローブティサージュ、オメガヴァンデッタ、レンイングランド、トーホウマポーラを3連複流し!牝馬激戦ハイペースと見ていましたが、1着はウキヨノカゼー!あら、女の子だった!なんで買わなかったのかなー!(涙)スポ紙!印が甘いぞ~~(ひとのせいにしてはいけません)。
12Rは無理やり余裕を持った振りをしてバイガエシから。頼むからお金返してくれー!八木オーナーお元気でしょうか?タガノエンブレム、馬主席で松本オーナーをお見かけしたのでメイショウテッサイ、オールステイで3連単ボックス。思いっ切り勝負を挑んで、突っ込んできたのはなんと女性騎手のターナーさん!
あーーー!
ここで『男の世界で頑張る女』という春菜さんから続くキーワード、オカルト馬券がきたかー!なぜそれが読めなかったのか、自分で自分を呪いたくなりました。1回死んじまえワタシ!
そんなこんなで楽しいオケラ競馬は終わりました。残すは来月の5日と6日の2日間。うそのように短い札幌開催ですが、最後までいっぱい食べて、いっぱい賭けよう。やがて来る冬眠に備えなきゃ。
帰り道に立ち寄った焼き鳥屋で、美人女将の優しい笑顔を見ながら
「1週間は5日くらいでいいし、1日は30時間くらいあれば、生きるのにラクなのにね」
札幌開催も2か月マックスであったらどんなにいいだろうかー。